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阿部謹也自伝
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 226843 位
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独自の世界を切り開いた歴史学者
ハーメルンの笛吹き男などで知られる歴史学者の自伝です。
戦中をかなり特異な体験を経て過ごしてきたことがわかります。
その点共感しにくい部分もあるかもしれません。
大学時代そして研究者として世間という概念にたどりつくまで
面白く描かれています。
おすすめです
自伝とは何か
ひとりの人間が死の数年前に自分の人生の私的公的両面生活のうち公表できる部分を文章化したもの、それが自伝であるとすれば、本書は、大学知識人としての著者の誠実さに裏打ちされた良書のひとつと言えるだろう。
人は生まれた以上、人生になんらかの足跡をのこして死ななければならない。そのことの覚悟に満ちた書物が本書である。
大事なことは、他のレヴューに書かれてあるような、本書の内容にあるのではない。自伝の内容は、それを生きたはずの著者とは、本質的な関係を結ばないのだ。ちょうど、あなたの人生が、あなたの仕事や私生活のもろもろの雑事とそれほど関係がないように。
大事なのは、本書のもろもろの内容ではなく、本書の贅言を費やさないスタイルとルーズな構造にある。そこに本書の著書の誠実な人間性が垣間見え、この偉大なと呼べなくもない一大学知識人の人生を一冊の書物のかたちで受容する素地ができあがるのである。
自伝という語られた虚構の人生に、もし著者の誠実さが垣間見えるとすれば、ただそれだけで、その自伝は読むに値するのである。けっしてそこに盛られた内容が大事なのではない。
自伝として上出来
支離滅裂な構成が逆におもしろい。自伝ゆえに好き勝手なことを書いていて、そのことが逆に著者の興味深い人間性を浮き彫りにしている。自伝とは自分をいかに物語化できるかという手腕が問われるジャンルだが、ここで著者は十分に物語の主人公たりえている。そのうえ非常に誠実な文体に好感がもたれる。必読書とは言わないが、読んで損はない自伝である。本書刊行後、2年たたないうちに、著者が亡くなったのであれば、なおさらであろう。
幸運な研究者の好例
一人の研究者の研究テーマが、その人のライフコースと
密接な関わりを持っているという好例。
幼少期を修道院で過ごした経験からドイツ騎士修道会の
研究を始め、ドイツ留学中に「ハーメルンの笛吹き男」に
出会って賤民研究に興味を持ち、日本とヨーロッパの
対比から「世間論」に辿り着く様子は、まるで絵に描いたようである。
氏は師である上原専禄教授に「それをしなければ生きて
ゆけないテーマを選ぶ」よう言われたという。
以前同氏による『自分のなかに歴史をよむ』でこの言葉に出会い、
そんなものが本当に存在するのかと思ったものだが、
今でもそのような人にはお目にかかったことがない。
阿部氏は余程幸運な研究者なのかもしれない。
大学が大衆化した現在は失われた昔のアカデミズムや、
あまり聞く機会のない大学改革の経緯などは興味深い。
ドイツの充実した文書館の様子も書かれており、
日本の文書館発展のためにもっと声高に主張してほしいと感じた。
あっさり薄味
歴史に自分を読みこむ阿部にして どんな自伝を書いたのかと 期待
しつつ読み進んだ。
結論として言うと 奇妙な味わいである。自伝といいながら 大学の
学長選に大幅に紙面を取るなど ある意味で阿部が自分の自由気まま
に書いている。他人に対する批判も実名で あっさり書いていて
むしろ潔い感じを受けた。これは 褒めすぎかもしれないが。
これを読むと 大学の学者も人の子であることがよく分かる。ある
意味では それ以上でもそれ以下でもない。そんな あっさりした自伝。
新潮社
近代化と世間―私が見たヨーロッパと日本 (朝日新書) 「教養」とは何か (講談社現代新書) 日本人はいかに生きるべきか 「世間」とは何か (講談社現代新書) 日本人の歴史意識―「世間」という視角から (岩波新書)
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